女に声を掛けるを理解するための6冊

女に声を掛けるを理解するための6冊

女に声を掛ける しっとり、うっとり、お嬢様フェイス。

「そんな筈が・・無い・・・」

あたしはうわ言の様に
ひとりごち、キャンパスに立ち尽くす。
然るに亜香里は、
「あり得ない
ハナシでもないんじゃないの?」
そう呟くと、
図書館の重い扉を
押し開き、キャンパスに出て来た彼女を
あたしの肩越しに
眼を凝らし食い入る様に見つめながら
「ほら、似てね?
やっぱそうなんじゃん?」
「で、でも、だって
高3の春に転校したらしいって・・・」
「なら進学の為に
こっちに戻って来たとか」
確かに言われてみれば無くは無い。
「無くは無いけど・・・」
緩やかな口調ながら
亜香里に詰め寄られ
あたしの中の
ギシギシ感は、ほぼ々もうピーク。
そうなれば否が応でも
半ば無理くり
蘇ってしまう
軋んだ胸の奥底に眠る記憶。
そう・・・
遡る事5年前。
その日あたしは部活の試合の帰り道、
チームメイト達
数人と別れた後
乗り換えの為移動した駅のホームで
夕暮れの時の
ラッシュで賑わう人混みの中
前を歩くひとりの
女の子に声を掛ける事になる。
『あ、ね、ねえ
いきなりで、申し訳ないんだけど、
そ、その・・・
もしかしたらもしかして
あなた、あの時の・・・』
『えっっ ⁉︎ ⁉︎』
驚き振り向く彼女。
でも無理も無い。正確に言えば
ほぼ初対面と
言ってもいいあたし達。
『ごめん、驚かして。
けどどうしてもお礼を言いたかったから
ほら、あそこで
あなたがウチのボールを・・・』
と、彼女は何かに
弾かれた様
身体を上下に揺らし声を上げ、
『あ、ああっ
ひょっとしたら隣のコートで?』
『そう、それっ
思い出してくれた ⁉︎
リバウンドで
うちのセンターの弾いたボール。
あなたが素早く、こっちのコートに戻して
くれなかったら危うく 
誰かが怪我してたかもしんなかったでしょ。
ホントはもっと早く
ちゃんとお礼を言いたかったんだけど
うちのチームのが
試合が終わるのが遅かったからさ』
そこまで一気に話すと
彼女は漸く事の次第を完全に理解してくれ
声を掛けた時に見せた
訝しげな始めの
表情とは別人の様に格好を崩し
やや、はにかみ
ながら俯向加減、
『ううん、全然。
お礼だなんてそんな、そんな。
私はただ、その・・・
マネージャーとして
当たり前の事をしただけだから』
インハイ前の前哨戦の
それは小さな大会での
Aコートでスコアラーだった彼女と、
Bコートでひたすら
ボールを追っかけてたあたし。
その日の帰りに
偶然、彼女を見つけなければ
気にはなりながらも
何時しか忘れて
しまっていたかもしれない出来事。
けれどあたし達は
出逢ってしまった。
出逢ってしまったのだ・・・。

女に声を掛けるを勝手に応援するサイト

 スパルタ婚活塾も、ついに最終講義を終えた。
 通常の恋愛本にはない、男の本音を必要以上にぶつけてきたつもりである。この講義で教えた恋愛理論を実践すれば、必ずや理想の男とゴールインすることができるだろう。

 さあ、講義は終わった。
 お前は今すぐに、理論の「実践」という新たなる旅路へと向かわねばならない。

 ――だが、その前に。
 最後に、少しだけ俺のわがままに付き合ってほしい。
 俺は、個人的に、どうしてもお前たちに伝えておきたいことがあるのだ。
 
 実を言うと「婚活」に関するノウハウをまとめるべきかどうか、数年前からずっと迷っていた。婚活は20代後半から30代後半の、しかも女性に限定される内容である。「もっと幅広い人が楽しめる本を」という考えがあり、俺は他の仕事に時間を割き続けていた。
ただ、そうした日々の中で、俺がどうしても婚活のノウハウを書かねばならないという使命感に駆られたのは、ある本がきっかけだった。

 「友がみな我よりえらく見える日は」上原隆著

 この本は、誰にも知られていない一般人を追ったルポルタージュの傑作であるが、その第2話に

 「容貌」

 というタイトルの話がある。
 
(以下、中略しつつ内容を引用)


 喫茶店で初めて会った時に、木村信子(46歳、仮名)はこういった。
 「こんな風に男の人と二人で話をするの15年ぶり。緊張してます」
 木村は男と恋愛をしたことがない。
 自分の外見が美しくないから男性の気が向かないと考えている。
 「ど近眼だし、出っ歯だし、あごが張ってるし、全然良くない」という。
 木村は20年近くひとりで暮している。 新宿区立図書館で本を借り、年間200冊以上本を読む。午前0時、ベッドに入って本を読む時間が木村は一番楽しいと言う。

 
彼女の家から大崎駅へ向かう道筋に、南雲医院という有名な美容整形外科の病院がある。
 18歳の時、彼女は母親と駅に向かって歩いていた。
 「あんた、お金出してあげるから、南雲さん行く?」母親が言った。
 木村は母親を見た。母の表情から冗談でいっているのではないことが分かった。
 そのとき自分がどう答えたかは覚えていない。ただ
 〈お母さんもやっぱり、私がブスだからかいわいそうだと思ってたんだ〉
 と考えたことだけはハッキリと記憶している。

 恋愛経験のない木村にも片想いの思い出ならある。
 19歳のときに、ひとりでハワイ旅行ツアーに参加した。そこで年下の男性と出会った。ハンサムだったし、話も楽しかった。〈なんて素敵な人なんだろう〉と思った。しかし、旅行から帰ってからは連絡もないし、会う機会もなかった。そこで、彼女は年に一回海外旅行をしておみやげを買い、それを口実に彼に連絡をとった。
 年に一度会う。それが8年間続いた。
 
 27になったときに、もう片想いはやめようと決心した。おみやげを持って会いに行くことをやめた。
 連絡をしなくなってから1年くらいたった頃、彼の方から電話があった。

 「会いたい」と彼は言った。

 「私、すっ飛んで行ったんです。で、会ったとたんに、彼が『実は……』って、私、もう舞い上がっていて、『実は……』っていわれたとたんに、『ううん、いわなくてもわかってる』っていっちゃったの。私はね『実は、ぼくも好きだ』っていうんだろうと思ったわけ。だって、私が好きな気持ちを向こうは知ってるでしょう」
 ところが、彼は「お金を貸してほしい」といったのだ。
 「私、ありったけの1万3000円、全部渡しちゃった。給料が4万8000円の時代だったから、私にとっては大金ですよ。彼は絶対私が断らないと思ってたんじゃないですか。自分のこと好きだから。『これだけしかないけど』って渡した。
 その時にね、喫茶店に入ってミルクティを頼んだんですよ。私あせっちゃって、もう、カッカッきてるから、ミルクティがきたとき、ポットに粉ミルクが入ってたの。で、ミルクだと思って入れちゃったら、それがチーズだったんですよ。粉のチーズってあるじゃないですか。スパゲッティなんかにかけるの。それがポットに入ってたんですよ。ミルクティっていったら、紅茶がきた時に一緒にミルクがこないから、これかなと思って入れちゃったの。バーッと入れちゃったんだけど、チーズだから溶けないわけ。浮いてんの全部。溶けないんですもの。上にポッカリ浮いちゃって。彼が見てるし、飲んじゃった。飲み込んじゃった。気持ち悪くて気持ち悪くて、ミルク、後から来たの。いま、思ってもすっごく恥ずかしい」


 ――この文章を読んで、何を感じるだろうか。
滑稽だと笑うかもしれないし、見たくないものを見せられ気分が悪くなった人もいるかもしれない。
 ただ、この本を近所のファミレスで読んでいた俺は、文字が読めなくなるくらい涙を流した。
 この木村という女性は、まさに俺だった。

 俺は講義の最初で、中学高校時代、女にまったく縁のない時間を過ごしたと書いた。その理由は、俺が女に声をかける勇気がなかったこともあるが、それ以上に、俺が女を遠ざけた理由がある。
 「醜形恐怖」と呼ばれる病がある。心理学者の町沢静夫が提唱した概念だが、まさに俺はこれだった。俺は中学2年の頃から「朝起きていると自分の顔がむくんで醜くなっている」ということを気にするあまり、女と話すことができなくなった。外を歩いているときはいつもうつむいて歩いた。
 「顔がむくむんです」
 何度も内科の門を叩いた。最終的には、心療内科への紹介状を書かれた。しかし、心療内科で出された利尿剤や漢方薬を飲んでも、俺の顔のむくみは変わらなかった。(ちなみに漢方薬を飲んだら、なぜか乳首が固くなった)。
 当然、美容整形も考えた。しかし、怖くてできなかった。そんなことをしたら周囲から後ろ指を指され、陰口を叩かれ、取り返しのつかないことになると思った。
 もし、あのまま俺の人生で何も起きなかったとしたら、俺は今もまだ、顔がむくむということを気にして、部屋の中で悶々としているのかもしれない。これは大げさではなく、本当にそう思う。
 だが、事件は起きた。
 浪人時代、たまたま入った街の電気屋で俺はあるパンフレットを見つけた。
そのパンフレットを持つ手が震えた。俺は自分の目を疑った。

 そこに載っていたのは、松下電工のリアルスウェットという名前の「個室サウナ」だった。

 「この発想は、なかった――」
 これさえあれば、俺は毎朝顔のむくみを
ることができる。そうすれば俺は新たな人生を、失われた青春を取り戻すことができる、そう考えた。
こうして俺は、東京の大学に進み、個室サウナというパートナーと共に、大学デビューすることを決意したのである。

 東京の大学に進学した俺は、下宿を探すときも、部屋の間取りや方角は一切気にせず、ただひたすらブレイカーの容量のみをチェックしていた。個室サウナは大量に電気を消費するので、20A(アンペア)以上の独立したスイッチが必要だったのだ。
下宿先に個室サウナが搬入されてきた日のことを今でも覚えている。
真っ二つに分かれた電話ボックスのような個室サウナを屈強な男たちが運んできた。そしてゆっくりと個室サウナが設置されていく様子を見て
「人生の問題はすべて解決した。これでやっと恋ができる」
そう考え、期待に胸を躍らせた。

 大学に入学し、すぐに一人の女の子を好きになった。
 まだ桜が散ったばかりの五月の始め、俺は大学の運動場の近くのベンチでその子に告白した。
 人生初の告白だった。
 緊張のあまり頭は朦朧とし、吐き気をもよおしながら、好きだという言葉を喉から絞り出した。
 結果、俺はフラれた。
 ショックだった。
 しかし、フラれたこともショックだったが、何よりショックだったことがある。
 それは、俺が告白をする日の朝、
 サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂→サウナ→水風呂を2時間以上繰り返し、最高のコンディションで臨んだということだった。干からびた俺は、ほとんどスルメのような状態になっていた。
 こうして俺は気づいた。
 俺が女にモテないことと、俺の顔がむくむことは、無関係だったのである!
 (ちなみに、俺は合計で十数回しかサウナに入っておらず、俺の個室サウナは1回5万円、という超高級サウナに成り果てたのだった)
 しかし、往々にして「悩み」とはそういうものだと思う。
 「井の中の蛙」は、「周囲の世界を知らず自分を客観視できていない傲慢な人間」に対して使われる言葉だが、あの蛙はむしろ「悩む人間」のイメージに近い。
 自分で勝手に作り上げた世界観(井戸)の中で、人は、悩むのである。

 こうして、とてつもない間違いをしていたことを、身を持って痛感した俺は方向転換をせざるを得なくなった。人生の優先順位を恋愛に設定し、アルバイトやサークルを「女の子がたくさんいるか」「恋愛能力が鍛えられるか」のみで選び、受験勉強以上に恋愛勉強をすることを決意したのである。

 しかし、これは地獄の日々の始まりだった。

 水商売のアルバイトの面接を落ちるたびに「顔が悪いからではないか」と考え、イベントサークルの連中にデカい態度を取られると「カッコ良くないからナメられるんじゃないか」と疑心暗鬼に陥った。

 当時、俺は合コンが終わったあと、その日の自分の会話を全部大学ノートに書きだし、どこがダメだったか、どこをどうすべきだったか、必ず反省するようにしていたのだが、ある日、そのノートをつけているといつのまにかボロボロと涙が出て止まらなかったことがある。
どうして俺はこんなことをしなきゃいけないんだ。
もし良い顔に生まれついていたらこんな努力をする必要なんてないじゃないか。
自分のやっていることがあまりにもバカバカしくて涙が止まらなかった。
それ以外にもつらいことはたくさんあった。恋愛マニュアル本に「旅先から手紙を送ると非日常感が演出できる」と書いてあったので実行したところ数人から気持ち悪いということを言われた。「女をビシッと叱る男がモテる」と書いてあったので遅刻してきた女を叱ったらそのまま帰られた上に、その女の友達からも無視されるようになった。大学の文化祭でたくさんの女に声をかけ片っ端から電話していったら「ああ、水野くん覚えてる。結構カッコよかった人だよね?」と言われて(こんなこともあるもんだな!)天にも舞い上がらん気持ちで待ち合わせた新宿で「え? 水野くん?」と言われた。その女は他の男と俺を勘違いしていた。渋谷の宮益坂でぬいぐるみを使って女の子に声を掛けるということを試みたら、変な男たちに絡まれ、殴られ、道の端に転がっていた泥だらけになったムーミンのぬいぐるみを抱えて帰ったこともある。
こうした努力を1年間、365日休まず続けた。途中で心が折れそうになることも何度もあった。しかし
「もし大学四年間に限界まで努力してだめだったら、美容整形して海外に住もう」
そう決めてありとあらゆる努力をした。

 大学二年の春。
 生まれて初めての彼女ができた。
 最初見たとき「こんな女の子と付き合えたら死んでもいい」と思ったくらい理想といえる彼女だった。
 この子との話は前著に書いたがもう一度書かせてもらいたい。

付き合ってしばらくした頃、彼女が「TSUTAYAへ行きたい」と言った。
「君に似ている俳優がいるから探しに行きたい」
と言われたのだ。
俺は、からかわれているのかと思った。俺に似た俳優などいるはずがない。大学時代はアイススケートの清水宏保、高校時代はワハハ本舗の梅垣に似てると言われてきた男である。
しかし、TSUTATAで「あったよ」と言って彼女は映画のパッケージを持ってきた。そこに載っていたのは――レオナルド・ディカプリオだった。

俺は、笑った。
わざわざTSUTAYAに連れてきて舞い上がらせておいてという手の込んだギャグだったのだ!
しかし、ここで異変が起きた。
女に、ギャグを言っている様子がないのである。
真顔なのである。
俺は何度も確認した。「こんなことしても何も出てこないよ」と笑った。しかし、彼女は本気だった。本気でそう思っていたのだ。
それを知ったとき、俺は自分の立っている世界がぐらぐらと揺れる気がした。俺は新丸子のTSUTAYAで泣き崩れた。

 七年間、顔のことで悩まない日は一日も無かった。
 しかし、その七年間の苦しみが、彼女のたった一言で、「感動」に変わったのだ。
 
 この話を聞いて「そんなにうまくいくはずはない」と言う人もいるだろう。「男と女は違う」と言う人もいるかもしれない。
 だが、一つ、確実に言えることがある。

 悩みは、感動の種である。

 そして、悩みが深ければ深いほど、感動の種は大きく膨らんでいく。
 そしてその種が
花開いたとき、それは、悩みの少ない人間よりも遥かに、素晴らしい感動を経験することができるのだ。

 良い顔に生まれなかった。歌が歌えなかった。スポーツをするのが得意じゃなかった。女の子を前にして軽快なトークができなかった。自分には才能がなかった。何もなかった。
 
 だからこそ、感動できたのだ。

 何も与えられていないということは、感動の余地を与えられているということである。
それは、この現実における、偉大なる真実だ。
だから、おせっかいだと言われようと、ほっといてくれと言われようと、変な夢を見させないでくれと言われようとも、俺は、どうしても言わなければならない。苦しみや悩みの向こう側には、闇の深さに支えられたとてつもない感動が待っているということを。

 人生は、オセロゲームのようなものだと思う。
 人は生まれたとき、誰もが祝福の「白」を渡される。すべての人の人生は「白」の駒から始まる。
 しかし、そのあと、自分が恵まれてないことを知ったり、嫌なことを経験するとどんどん黒い駒が置かれていく

 ○●●●●●●●●●●●●●●●●……

 でも、人生のどこかで白を置くことができれば、それは、最後の最後でも良い。なんなら、死ぬ間際だって良い。それでも、最後に、白を置くことができれば
 黒は、全部白に変わる。
 なぜなら、その白は、
 苦しみや悩みがあったらからこそ置くことのできた白だから。

 その白は、すべての黒に支えられた白なのだ。

 これから新たなる旅路へと進むあなたには、苦しいことやつらいことが待ち受けているかもしれない。
 しかしそれでも、ぜひあなたの人生に白駒を――あなただけの白馬の王子を見つけて欲しい。
 そして、もしこの文章がそのきっかけとなるのなら、俺にとって最高の幸せである。

 それでは、
 最後まで読んでくれたあなたに。
 そして、この文章を書くきっかけとなった、すべての悩みに感謝します。

 水野愛也

 ※「ウケる日記」は、今後も毎週火曜日更新します。


「スパルタ婚活塾」が本になりました!


 「男からプロポーズを引き出す方法」など書籍版オリジナル理論も多数追加されています。よろしくお願いします!

女に声を掛ける ふたりが暮らした。

                                      
旅の到着はもう少し先にあって…
此処は、そこから目と鼻の先にある邸(やしき)
旅に疲れた家臣達の為に宴が行われ、気負いの若い家臣達が酒に酔いながら、次から次へと盃を空にした。
僕はその様子を岡田様の傍らで黙って見ていたが…
旅でひどく疲れた僕の体は重くて…
これ以上この場所に居られなくなって…
「体調がすぐれないので…先に部屋に戻っ…」
「あぁ…かまわないよ…誰か健を…」
岡田様が自分の近くにいた若い女中に声を掛けると
「慣れない邸(やしき)だ…健を部屋まで案内してやってくれ…」
そして僕は一人…
夕食の宴を早々に切り上げて部屋へと向かう事ができた。
邸の長い廊下を、僕の斜め前を歩く女中の手持ち行灯(あんどん)の光に導かれながら部屋へと向かった。
「はぁ…疲れた…」
流石に疲れた体から、ため息と一緒に出た言葉に前を歩く女中が
「大丈夫ですか?」
声を掛けてきた…
「何でも無いよ…大丈夫…です…」
僕は、僕の事を心配して声をかけてくれた若い“女中さん”に少し冷たく言葉を返した気がしてきて…
僕の前を腰を低く屈(かが)めて、注意深く足元を明るく照らしてくれる若い女中さんとの沈黙が気まづくなって
廊下を歩きながら…
「貴方はいつからこの邸の…奉公に上がってるの?」
「私は9才からこちらに奉公に上がっております…」
「僕もその頃に“能”を舞い始めたよ…」
年端の変わらない二人の会話は思いのほか…
先に進まず…
「年を聞いてもかまわない?」
女中は、少しハニカミながら…
「今年で16になります…」
「そっか…そうなんだ…僕と同じなんだね…」
年端(としは)のいかない歳の頃に奉公に出された女中と…
歳の変わらない僕は…
何故かお互いが、別々の道で一日一日を刻んで
戸惑いながら今を…
先へと進んでいた事に…
親近感を覚えて…
「お互いの道が良い方向に進む事を願いたいね…」
少しの沈黙ののち
「は…い…そうなることを願っていきます…」
二人の落ちついたトーンの会話に、少しだけ心の距離が縮まった様に感じていると…
それは一瞬だけで…
「健さま…お疲れとの事と、私なんかとの会話をするよりも早くお部屋へ…」
また二人の心の距離が広がって共に戻った。
僕は女中の後に続いて部屋へと案内されて…
無言のまま廊下を歩いていると、
「段差がありますので、足元に気を付けて下さい」
僕と年の変わらない女中が、僕へと小さな段差に気を使う…
「あ…ありがとう…」
“ガタンっ”
「ひゃっ」
正面に体を向き直した女中の足が滑り絡まって
体勢を崩しかけた女中の体を、僕は腕を伸ばして体で受け止めた。
「大丈夫?」
僕に気を回し過ぎてつまずいた自分を恥じて…
「すいません…すいません…申し訳ありません…」
何度も謝る女中に
「いいよ、気にしないで、ケガは無い?」
「はい…おかげ様で…あ…っ!」
二人を包み込む闇の深さに、
手持ちの行灯の灯が消えてることに気が付いた女中が、慌てて僕から体を離して
「すいません…すいません…ここで…お待ち下さい直ぐに灯を…」
何度も何度も謝るのを女中に、
「いいよ…そんなに謝らないで、それに灯を取りに行かなくてもいいから…」
「でも…もし…この暗闇で迷ってしまったら…」
「いくら…この広い御屋敷でも、流石にこの先を曲がればもう分かるから…一人で戻れます」
「でも…この闇で…つまずいたりでもしたら…それなら…私の肩に手を置いて…」
女中が自分の肩を僕へと差し出す姿に、
「ははっ…そこまで、男の僕が君にしてもらわなくても大丈夫ですよ、それに…ほら…」
薄暗い廊下の先にある、広い庭を僕は指差して…
「この先は外廊下だから…月の光が射し込んで廊下を照らしているから、もう一人で大丈夫ですよ…」
月の光が射し込んだ廊下へと女中の視線を向けさせて…
「でも…」
「君こそ…戻る時には足元に気を付けて…つまずいても僕はもう助けて上げられないからね」
薄暗い廊下での会話に、お互いの表情をくみ取ることも出来ないまま…
声のトーンだけで…
お互いの表情をイメージしながら話しをして…
僕は薄暗い暗闇の中で少し近付いて
「君と少しでも話
出来てよかったよ…“ありがとう”」
優しく女中に微笑みかけると
それを感じてか…
「私にそのような優しいお言葉…もったいないです…」
女中は、自分の頬が赤く染まったであろうと…
慌てて両手で隠しながら…
「し…失礼します…」
僕から逃げるように、そそくさと足早に来た廊下を戻って行く女中の背中を、僕は見送りながら
女中の赤く染めた頬さえも…
姿さえも…
足音さえも…
廊下の先の暗い闇に消えて行くのを眺めていた。
そして、
僕は一人になって…
月の光に導かれながら…
月光が射す方向へと一人で歩みを進めた。
※1気負い…自分こそはと意気込み、張り切る気持ち


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