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凛としてリアリティ
子供って、なんで走り回りながら叫ぶのでしょうか?子供キライなので、いきなりうるさい子供たちが好き勝手なことをしているシーンから始まって、ゲンナリしました。
The Florida Project
Produced: 2017
Director
Sean Baker
Cast
Moonee : Brooklynn Prince
Halley : Bria Vinaite
Bobby : Willem Dafoe
Ashley : Mela Murder
Jancey : Valeria Cotto
ムーニーは6歳の女の子なのですが、悪いことばっかりしている。アイスクリーム屋の前で大人が来るのを待って、嘘をついてアイスクリームを買うお金をせびる。モーテルの客の荷物を勝手に運んで、チップをせびる。空き家に入って火事を出しちゃったり、入っちゃいけない管理室に入って、ビルの電気を全部落としちゃったり。
しかも、親が全く子供に対して責任を持たないのが、さらに腹が立つ。レストランでバイトしていたとき、走り回る子供を「可愛い」と放置しているバカ親には本当に腹が立った。
母親のヘイリーは、ムーニーに対して苦情が来ても、「何よ、うるさいわね」って感じで、謝らないし、悪いとも思ってないし、ムーニーを躾けることもできない。こういう親が一番ムカつく!!責任取れないなら、子供持つな!!
私は静かな環境が好きなので、あんな風に一日中悪ガキが走り回っているところには絶対に住みたくない。
しかしこの親子が住んでいるのは、アパートではなく、フロリダのディズニーワールドに近い「マジック・キャッスル」と言う、小さなモーテル。
ヘイリーはシングルマザーで、貧しくてモーテルにしか住めないんだから、可哀想じゃないかって言うかもしれないけど、このモーテルにはもう1人、シングルマザーのアシュリーもいるけど、彼女はウェイトレスをして働いている。
アシュリーは、自分の働くレストランでヘイリーも働けるよ、って言ってくれているのに、ヘイリーは安物の香水を観光客に売る「ぼったくり」みたいなことをやってる。
マジック・キャッスルの管理人をしているボビー(ウィレム・デフォー)は、モーテルの客に迷惑をかけるような、シャレにならないイタズラをするムーニーや、毎週の部屋代を払わない上に態度が横柄なヘイリーに、辛抱強く付き合ってあげているのに、ヘイリーは、ボビーにさえ感謝の気持ちもない。
そんなことばっかりやっているから警察に捕まったりして、どんどん人生を立て直すチャンスを失っていく。そして、結局は、売春するようになる。
ちょっと笑っちゃたのは、ある日ヘイリーは、ディズニーワールドのリゾートパス?になるブレスレットを4つ、ツーリストに売る。600ドルなところを、350ドルでいいよ、とか言って。
その日の午後、男がヘイリーとムーニーの部屋のドアを叩く。
全く取り合わないで無視するヘイリー。
ボビーが男を不審に思って「何しているの」と尋ねると、「この部屋に住んでる女が俺の持ち物を盗んだ」と言う。
ここら辺まで見ても「?」と思ってたんだけど、つまり、ヘイリーのところに売春の客として来た男の荷物の中から、リゾートパスを盗んで売っちゃったらしい。
しかし男は、ヘイリーを買ったことが家族にバレるから、警察に届けることもできない。パス4つだから、家族だよね? 家族でバケーションに来ておいて、インターネットに水着の写真を上げてるような怪しい売春婦を買う男。リゾート・パスは「1700ドルの損失だ」って言ってたけど、うーん、ちょっと自業自得だな。
私もシングルマザーに育てられたので、ヘイリーとムーニーに同情するよりは、イライラした。きちんと定職に就いて、慎ましやかでもなんとかまともに生きようと思わないのか、と。
モーテルはアパートじゃないので、ずーっと住んではいけない規則があるらしく、1ヶ月に一日?は「泊まらない日」がないといけないらしい。なので、マジック・キャッスルに住んでいる「住民」は、月に一日、別のモーテルに泊まりに行く。
ボビーはすごくいい人で、その「別のモーテル」と契約というか、「$35で泊めてやってくれ」とお願いしてあるようだった。
だけどヘイリーが行くと、経営者であるインド人のおばさんが、$45じゃないとダメだと言い張る。
ヘイリーは、ボビーに電話して、「なんなのよ、こいつら!$45だって言ってるわよ!話が違うじゃないの!」みたいな、粗暴な態度で、Fuck だのShit だの連発する。
ボビーはすぐ来て、$45払って上げちゃう。なんていい人なんだろう。しかし、インド人のおばさんは、文句ばっかり言って態度の悪いヘイリーに、心底頭に来たようで、
「金は要らない。出ていけ。なんだその態度は。子供の前で口汚く人のこと罵ったり。そんなことだから、こんな生活してるんだ」という。
それがまさしく、私が思ったことだった。おばさんは多分、インドからの移民なのだろう。コツコツ地道に働いて来たに違いない。こういう人から見ると、ヘイリーは本当に自業自得としか思えない。
しかし、DVD特典の監督のインタビューを見たら、ヘイリーがムーニーを生んだのは15歳くらいだと言う設定と言っていた。つまり、この時点でヘイリーは21歳。
21歳か~。21歳なんて、子供だもんなあ。親も全く出てこないから、もう死んでるか、かなり無責任な親なのだろうな。
アメリカには礼金・敷金はないのだけど、最初、2ヶ月分のデポジットをしなくちゃいけないので、それを払えずモーテルに住んでいる人が多いことが、アメリカの「知られざる社会問題」なのだそうです。日本の「ネットカフェ」に住んでいる人みたいなものだよね。
監督・脚本のショーン・ベイカーは、そういう人たちの生活を描きたかったんだけど、「子供の目を通して」、しかも「貧しい子供」に限定するのではなく、「普遍的な子供時代」を背景に、描きたかったそうです。
だから、ムーニーとその友達の子供たちは、私にはうるさくてサイコーに関わり合いたくないガキどもだけど、確かに生き生きと描かれている。
監督も含めて製作者チーム
は、フロリダのモーテルに取材して回り、映画のエピソードは、実際にそこに住んでいる人や管理人たちの話から直接取ったものがほとんどだそうです。
そしてキャストも、地元でオーディションをしたり、ムーニーの友達のジャンシーを演じたヴァレリア・コットちゃんは、監督が地元のターゲットと言うスーパーで見つけて、スカウトして来た素人だそうだ。
母親のヘイリーを演じたブリア・ヴィナイテも、インスタグラムで見つけたんだって。ムーニーとアシュレイ役は役者さんみたいだけど、まだ無名の人たち。
有名な役者を使わなかったからか、とても真実味があった。どうも最近の映画を観ていると、みんな髪型を変えたり色々しているけど、役になり切っている人がいなくて、とても嘘くさく感じることが多い。特に女優は、セレブな生活がいろんなメディアで公開されていて、みんな知っているじゃない?それで、「貧困なサイテーの生活をしているシングルマザー」の役を演じられても、やっぱそれはにわかに信じがたいもんね。
ウィレム・デフォーは、みんなに厄介かけられながら働く、人のいいマネージャーを好演していた。この人はさすがに素晴らしい役者さんだから、有名でも真実味のある演技ができるんだと思う。
『』の子役にも驚いたけど、ムーニーを演じたブルックリン・プライスちゃんがすごいな~と役者としては感心したし、ヘイリー役も素人なのにすごいハマり役で、リアリティがあって良かったけど、でもどうしてもこの親子好きになれない。自分も毎日、漠然とした不安にさいなまれながらも、地道に頑張ってやって来たから、「なんで真っ当に生きないの?!」と思ってしまう。でも、「頑張ればなんとかなる」っていうこと自体がラッキーなことで、それさえ与えられてない人たちもいるんだと思うと、なんとも心が重くなる。
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関西弁がまたリアリティあるなぁ
下の名前呼びは個人的に高得点
イケメンなのはめちゃジワる https://t.co/hkPS6oIe0v
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