女に声を掛ける 百年、貯めたっていい。
「そんな筈が・・無い・・・」
あたしはうわ言の様に
ひとりごち、キャンパスに立ち尽くす。
然るに亜香里は、
「あり得ない
ハナシでもないんじゃないの?」
そう呟くと、
図書館の重い扉を
押し開き、キャンパスに出て来た彼女を
あたしの肩越しに
眼を凝らし食い入る様に見つめながら
「ほら、似てね?
やっぱそうなんじゃん?」
「で、でも、だって
高3の春に転校したらしいって・・・」
「なら進学の為に
こっちに戻って来たとか」
確かに言われてみれば無くは無い。
「無くは無いけど・・・」
緩やかな口調ながら
亜香里に詰め寄られ
あたしの中の
ギシギシ感は、ほぼ々もうピーク。
そうなれば否が応でも
半ば無理くり
蘇ってしまう
軋んだ胸の奥底に眠る記憶。
そう・・・
遡る事5年前。
その日あたしは部活の試合の帰り道、
チームメイト達
数人と別れた後
乗り換えの為移動した駅のホームで
夕暮れの時の
ラッシュで賑わう人混みの中
前を歩くひとりの
女の子に声を掛ける事になる。
『あ、ね、ねえ
いきなりで、申し訳ないんだけど、
そ、その・・・
もしかしたらもしかして
あなた、あの時の・・・』
『えっっ ⁉︎ ⁉︎』
驚き振り向く彼女。
でも無理も無い。正確に言えば
ほぼ初対面と
言ってもいいあたし達。
『ごめん、驚かして。
けどどうしてもお礼を言いたかったから
ほら、あそこで
あなたがウチのボールを・・・』
と、彼女は何かに
弾かれた様
身体を上下に揺らし声を上げ、
『あ、ああっ
ひょっとしたら隣のコートで?』
『そう、それっ
思い出してくれた ⁉︎
リバウンドで
うちのセンターの弾いたボール。
あなたが素早く、こっちのコートに戻して
くれなかったら危うく
誰かが怪我してたかもしんなかったでしょ。
ホントはもっと早く
ちゃんとお礼を言いたかったんだけど
うちのチームのが
試合が終わるのが遅かったからさ』
そこまで一気に話すと
彼女は漸く事の次第を完全に理解してくれ
声を掛けた時に見せた
訝しげな始めの
表情とは別人の様に格好を崩し
やや、はにかみ
ながら俯向加減、
『ううん、全然。
お礼だなんてそんな、そんな。
私はただ、その・・・
マネージャーとして
当たり前の事をしただけだから』
インハイ前の前哨戦の
それは小さな大会での
Aコートでスコアラーだった彼女と、
Bコートでひたすら
ボールを追っかけてたあたし。
その日の帰りに
偶然、彼女を見つけなければ
気にはなりながらも
何時しか忘れて
しまっていたかもしれない出来事。
けれどあたし達は
出逢ってしまった。
出逢ってしまったのだ・・・。
女に声を掛けるも、こだわって選びたい!
親愛なるあなたへ
トモくんパパこと佐藤達哉です。
12月15日 @ 品川
田宮陽子さん 西田普さん 『運気を上げるブログ塾 クリスマススペシャル』に奥さんと参加しました。
わたしは7年半勤めた会社を退職。
西田さんはそんなわたしに満面の笑みで
『退職おめでとうございます』
とにこやかにお祝いの言葉をくれました。
西田さん ありがとうございます!
まさにその通り『おめでとう』なんです。
自分自身の心境も。心の整理に2ヶ月かかりました。
新たなるステージに向かって分岐点となったそんな一日。
特別に何か引き寄せられていた気がします。
一週間前の12月8日 @大阪 自宅のある滋賀から
『運気の上がるブログ塾』に夫婦で初めて参加しました。
ぼやけるくらいに後ろの方です😊
今思うとこの時は恥ずかしいとかテレがあり、『心のブロック』がありました。
この大阪でのセミナーで印象に残っているのは、田宮さんが『席順には意味があるのよ!』という言葉でした。
この時、わたしは5人席の中央、そして両脇は女性でした。2人と3人に分かれるワークがありました。わたしは話かける事を躊躇い、ワーク中ひとりきりになっていました。田宮さんが会場をくまなくひとりひとりの顔を見ながら回っている時、わたしと目が合いました。
その時『まだブロックが外れていないな』とわたしの心を見透かされていた、田宮さんにバレた!と後ろめたい気持ちになったのを感じたのです。
初めて参加した大阪のブログ塾。
会場は品川よりも大きく、そして参加者も160名近くはいたでしょう。
そんな中で田宮さんの心の底から発せられる声は言霊となり強大なパワーを、そして覚悟を決めたまさに全身全霊を傾けたその姿にわたしは圧倒されました。
その時こう思ったのです。
『情けないなぁ。。。オレ。
大切な命の時間を無駄にしてないかって。覚悟が足りないからブロック外れないんじゃないのかって』 そう思いました。
それでも少しブロックは外れたのかYouTubeにその時の感想を奥さんがアップロードしているんです。でもこの時はやっぱりテレがあるなぁ。
田宮さんと西田さんのブログ塾の感想を語るYouTubeは世界初かもです😊
わたしの奥さんは7年以上ほぼ毎日欠かさず、blogを書き続けています。そして自閉症で重度の知的障害のある息子がいる事を隠さずに書き続けてきたのです。母は強しです。
一方でわたしは隠していました。
障害のある息子がいる事を。
その事を知っている古くからの友人を除いては。
会社にも知られたくない。
そう
体裁を気にしてきたのです。
2年前の忘年会だったか、大学時代の仲の良い友達が涙ながらに告白したのです。
『産まれた女の子がダウン症なんだ。。。』
『なんで。。。どうして。。。普通の子じゃないんだよと。。。』
彼はわたしの今17歳になる息子が障害があることを知っています。その時わたしは『自分の家族の生き方が障害の子を持つ親御さん達の羅針盤として少しでも癒しになれば』そう思い息子の障害をカミングアウトする事にしたのです。
そんな彼と12月14日。そう品川でのセミナーの前日に大学仲間と交えて久しぶりに集まりました。
『いつも、達ちゃんのFacebook見て参考にしてるよ!ありがとう。オレも悩んだけどカミングアウトしたよ!』そう言ってくれました。
最高の仲間です👍
こんなにブロック外れた笑顔いつ以来かな😊
発信する事は必ず誰かの役に立っているんですね。一歩前に出る勇気を与えることもできるんです。
話はここで終わりません。
ここから引き寄せの連続です。
大学の仲間と飲んだ後、次の日ブログ塾クリスマススペシャルを控えていたわたしは品川のホテルに泊まる事にしました。
予約はなく駅前の東横インに行くも満室。
仕方なく隣の品川プリンスホテルへ。
値段は倍近くしますが、チェックインして明日に備える事にしました。
品川で開催のブログ塾。
奥さんは申し込みせずわたしだけ申し込みしてました。キャンセル待ちだったのですが運良く繰り上げ。→引き寄せその1です✨
陽子さんのblogを読んでいたら、
なぬっ!若干まだ席用意できますとのこと。
少し元気がなさそうに感じていたので、滋賀にいる奥さんに『空きがあるみたいだから申し込んだら。当選したら新幹線で来な。』とLINEで連絡しました。
申し込みするものの案の定キャンセル待ちだと返信あり。
その時何故か根拠のない自信がありました。
絶対当選すると。何故かそう思えたのです。
事実、前日の23時頃に繰り上げ当選の連絡があり、朝7時の新幹線に乗って京都から駆け付けてきたのです。→引き寄せその2です✨
奥さんから参加できるよ!と連絡もらったわたしは、どうしても観て欲しい映画がありました。
『ボヘミアンラプソディー』
一度観て感動し、奥さんと京都の大学に通う長女に『すんごい 良い映画だか本当観て マジお勧め‼️』って話してたんです。
おっ、これは良い機会。
セミナーの開始は14時 ホテルから徒歩5分。
奥さん到着9:30ね。。。
よしっ!映画館探そっ。どれどれ。。。
あれっ? なに?
このホテルに映画館隣接してるんだ!
うわっ超ラッキー🤞→引き寄せその3です✨
でっ、ボヘミアンラプソディーは何時からかな?
おっ、10:50からで130分。なら終了13:10頃になるな。ちょうどいい!おっ!しかもペア席確保‼️→引き寄せその4です✨
奥さんを品川駅まで迎えに行き、ホテルに荷物を置いて朝ごはん。ニコニコですな😊
『ボヘミアンラプソディー』
実は奥さんとふたりで映画観るのは初めてかもしれません。そんな時間すら取ってあげられなかった、いや取れなかった。
今ようやく子供達だけで留守番できるようになってくれた。子供達に感謝です。ありがとう😊
『ボヘミアンラプソディー』自分を表現する事。まさにブログ塾のセミナーと同じです。フレディマーキュリーの生き方は田宮さんと通ずるかもしれません(^^) 絶対観るべき映画です!
映画の後、クリスマススペシャル ブログ塾会場へ。
今回は会場入りも30分前。
前から3列目の席を確保できました。
いつも大半が女性。この日も男性は西田さん含めてたった5人でした。
女性のパワーは凄いですね!
ほんとにここ会場到着まであまりに順調で次々と引き寄せてくれたのは、一足早いクリスマスプレゼントだったのでしょうね😊 Merry Christmas!
ここ品川でのセミナー、先週の大阪でのあの陽子さんの言葉を思い出しました。
そう。『席順には意味があるのよ!』という言葉です。
この時もわたしは5人席の中央、そして両脇は女性でした。
また2人と3人に分かれるワークが今回もあったのです。
前回大阪では話かける事を躊躇い、ワーク中ひとりきりになっていました。
しかし今回は違いました。
自分から隣のお2人の女性に声を掛ける事がすんなりとできたのです。自分で言うのもなんなんですが、しかもとびきりにこやかな笑顔で😊
何かブロックが外れたんだと。
そう思えました。
大阪のセミナーと明らかに自分自身が変わった点があります。分かる人にはわかるんだと思います。
それは何なのか。
大阪では自分の心のブロックを外す事ばかり考えていました。
品川では違いました。
他の人を応援する事ばかり考えて実践するようになっていたのです。
心のキャパシティが広くなった感じって言うんですかね。そんな思いになりました。
わたしが日頃から大事にしている事があります。これさえやっていければ全てがうまく運ぶ、経験則での話です。
それは『奥さんを笑顔にする事』
奥さんが笑顔であれば、子供達は笑顔になります😊 嬉しいんです。安心します。そして旦那さんは仕事がうまくいきま
す。自分の経験から絶対にです!
『奥さんを笑顔にする』その為に『自分を大切にする』のです。
自分を大切にする事。
それは自らの身体の健康を、そして何よりも自分の心が健康である事が一番大事だと思うのです。→だから会社を辞めました。
自分の使命はなんなのか?
ようやく目指す未来が見えてきました。
『障害の子を持つ親御さんや家族が安心できる、そして心安らぐ憩いの場を作りケアする。空家古民家などをリノベーションしたcafeに耕作放棄地を有効活用した農園を併設し、そこで障害者の就労支援を活躍の場を求めるリタイヤした高齢者と共に分かち合えるコミュニティを創造し地域社会に貢献する』
これが自分の使命なんだと。
そしてその実現に向かってインフルエンサーになり、共に分かち合い創造できる仲間と一緒のバス🚌に乗っていく。
その仲間探しをこれからしていこうと思います。
息子は時計が大好きです。
息子の先には何が見えているのかな?
これからも一緒に大切な命の時間を刻んでいこう。
人にやさしい社会を一緒に創造していこう。
そう思うんです。
生まれてきてくれてありがとう。
あなたはいてくれるだけでいい。ありがとう😊
視界50ヤード、天候霧、曲がらない、だから狙える女に声を掛ける。
新聞小説 「ひこばえ」(7) 10/12(129)~10/30(147)
作:重松 清 画:川上 和生
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第六章 カロリーヌおじいちゃん 1~18
父が借りていた本を返却するため、和泉台ハイツから徒歩十分ほどの和泉台団地に向かう洋一郎。大家の川端久子さんが先導。
自分たちが昔暮らした団地に驚くほど似たその佇まい。
私設の図書館「和泉台文庫」の成り立ちについて説明する川端さん。住民同士の交流を目的として、有志の寄付により今では蔵書三千冊。
川端さんもここへ来るのは初めて。
高校生風の女性に声を掛けるとすぐやって来た。「田辺(娘)」の名札。
事情を説明する川端さんだが、ピンと来ていない。彼女は臨時の手伝いであり、もう一人に声をかけた。
その女性の名札には「田辺(母)」とあった。
娘は陽菜、母は麻美さんといった。創設当時からのスタッフ。
川端さんの説明に麻美さんは「石井さんが?」と返した。
週に一度は来ていたので父の事は良く知っていた。
登録後しばらくは、毎日の様に来て「カロリーヌ」の名を冠した児童本を全巻読破した。
「カロリーヌおじいちゃん」とは、いつも同じ席でその本を読んでいた父についたあだ名。
カロリーヌの名前に記憶があり、麻美さんが持って来た本を見て驚く洋一郎。家にもこの本のシリーズがあった。
元々は洋一郎が小学校に上がる時に買ってもらったものだが、姉の方が夢中になった。幼少期の大事な記憶。
貸し出し用にあったのは復刻版だが、たまたまあったオリジナルを見せた時、父は涙を流したという。
また、常連になった父に、イベントの朗読劇で子供を見送るおじいさんの役を頼み込んでやってもらったと話す麻美さん。
彼女にとっては「いい人」でしかない。
洋一郎は父と自分、母や姉との事を麻美さんに説明した。
家族を捨てた男。
驚いた麻美さんだが、思い出した様に、朗読劇の時、相手の子どもが姉弟の二人だったのがやり難かったと言われた話をした。
麻美さんのところで父が写った写真がないか探してもらったところ、武蔵野電鉄の広報誌「ムサQ」に掲載された和泉台文庫の記事に、後ろ姿ではあるが父の姿が写り込んでいた。
全体の佇まいに既視感があった。
その話を姉にした。話を聞くやいなや怒り出す姉。カロリーヌの本は、姉も自分の娘に復刻版を買って読ませていた。
すらすらと登場人物の名前が出て来る。だが今の父の話を聞いて、もう二度と読み返さないと言った姉。
その話は早々に切り上げられ、孫の遼星の話に入る姉。母への連絡を妻の夏子にさせた事を叱る。
だが自分が話した時に、父の事を隠しおおせる自信がなかった。姉からは絶対話してはダメと言われていた。
なおも食い下がる様に、父が「原爆句抄」を借りた時のいきさつ、麻美さんに話した尾崎放哉や山頭火の様なフラフラした生き方に惹かれる、といった話もしてみた。
「そんなのどうでもいい」とにべもなく断ずる姉。
母はもう八十過ぎ。長谷川のお義父さんと四十年近く連れ添って、今は血縁のない長男の家族と気兼ねしながら暮らしている。
姉が見て来た母の様々な苦労。泣いているところも、土下座して謝っているところも。その全ての出発点は「あのひと」なんだから。
父が残していた、携帯電話のアドレス帳や、カレンダーに残していた誕生日の事を話しても、無言で電話を切った姉。
その夜、帰宅した夏子に父の事を初めて話した。実の父親の話など、この三十年の付き合いの中で、数えるほどしかしていない。
子供や孫にやっかいな事を背負わさないのも私たちの務めだと言う夏子。
遺骨を手元に置いた方がいいという住職の話には「だめよ、そんなの」と一瞬での答え。
寝酒を飲みながら、和泉台文庫で借りて来た「カロリーヌとおともだち」のページをめくる。
姉と一緒に読むカロリーヌの本。母の姿の向こうにごろんと横になってタバコをふかしている父の姿。
懐かしさでまぶたの裏がじんわりと熱くなった。
感想
父が借りていた本を返しに行った「和泉台文庫」を巡る話。
洋一郎や姉にとって幼少期の重要な位置を占める「カロリーヌもの」の児童書。それを懐かしく読み返していた父の姿。
だが父にとってその思い出は悔恨の固まりでもある筈。
事実姉は、カロリーヌと父が繋がった事を知っただけで「もう二度と読み返さない」と激怒。
洋一郎が、ノー天気に懐かしがっているだけなのにもかなり違和感。
ただ、これを読んで思い出すのは重松の過去作「流星ワゴン」。
事故死して車ごと幽霊になった親子と共に、危篤の父の過去を巡る旅に出掛ける男の話。父の若い時の姿「チュウさん」を通して父が若い時に出会った人生の分岐点に立ち会う。
父が、一体どうして母と別れてしまう事になったかという、究明のナビゲーターとして洋一郎を設定し、架空ではない「実世界」の話として構築しようとしているのか?
ところで、「」は実在する絵本。
絵本ではあるけど、その筆致は子供こどもしておらず、細かく描き込まれた内容は、確かに部分ごと様々な物語を膨らませる事が出来る。