女子会 ドリンク・メッセージ

今日は『葉やま』でプチ女子会。

由美は楽しいのか酎ハイこれで３杯目。それでも酔わない由美を、ゆいは心配する。

 

「由美ちゃん、まだ飲めるの？」

「うん。そうそう、夏美ちゃんだけどさ。私、この頃良く誘われるの。それは全然良いんだけど、あの子強いのよ。私も付き合わされちゃって。こないだ大変だったんだから」

「うん、聞いた。夏美さん撮影でうちに来た時、酒臭かったから」

「でもね～。なぁ～んか違うんだ。楽しいんだけど、たまにはアルコール抜きでも良いんじゃない？って思う時もあってさ」

 

そう言いながらまた頼もうとする。

「小百合ちゃん、最後にいい？カルピスサワー・・・ちょこっと濃い目がいい」

「いいけど、大丈夫？」

「大丈夫♪今日は楽しいから。それに明日は夕方からだもん♪」

小百合も心配そうに見ながら空いた皿を下げた。

 

「ゆいちゃん。あのさ。新しいドラマのことだけど。前に話した、ガールズラブの。昨日１話の台本をもらったの。

私には無理かもしれない。ほら、役としては認めない派で改心させるんだけど、セリフがね。

ゆいちゃんから聞いた一幸君の話なんか非じゃないくらい。

これからどうなるか分からないけど、人間性を疑うよ」

「例えば？どんなセリフ？」

「自分から振っといてあれなんだけど、言えない。私のことをそういう目で見られそうだから」

 

「は～い。カルピスサワーね。由美さん、もうこれでストップ。これ飲んだら〆のご飯持ってくるから」

「ありがぁ～～～とぅ！」

「何？酔っぱらってるの？」

「小百合、ちゃんと送ってくから大丈夫」

小百合が席を外すと、ゆいはもう一度聞いた。

由美は遠慮がちに覚えているセリフを少し話した。

 

「もしかして私のこともそんな風に見てたの？気持ち悪いんだけど。ねぇねぇ。女の子同士ってどうやって・・・。

ごめん。これ以上は言えない。まだ本読みの段階だからセリフも変わると思う」

「なるほどね。全く知らない人はそう思うのかも。ぶっちゃけ、私も分からなかったんだから。

でも、セリフじゃん。あ～セリフを本気で捉える人もいるからね。

この役だって、いつかやって良かったって思うかもしれないよ。

私と小百合のことは気にしないで・・・っていうか気にしないの！

Ｏ．Ａの時は小百合と一緒に観るからさ」

「うん・・・トイレ行ってくる」

由美が席を外すと、小百合がテーブルを片付けに来た。

「由美さん、どうしたの？めっちゃ酔ってるよ」

「うん。帰ったら話すよ。足はどう？」

「今日はそんなに忙しくないから大丈夫。そろそろ〆を持って来ていい？」

 

小百合は圭吾にお願いをして〆のノリ巻きを頼んだ。

「あとさ、ごめん。私の分も。晩ご飯用意してないんだ」

「分かった。堂脇さん、大丈夫なのか？」

「多分・・・」

 

トイレの手洗いで鏡を見ながら由美はいろんなことを思う。

夏美のこと、今度のドラマのこと。そして。

「私も横浜に住みたい。そしたらゆいちゃんともっと会えるのに」

 

由美が戻って来ると、目の前にはカニのノリ巻き５切れが置いてあった。

「由美ちゃん、これで今日は終わり。食べ切れなかったら包んでくれるって」

「美味しそう♪食べる、食べる」

ジョッキ４杯の酎ハイでも大丈夫な由美は美味しそうにノリ巻きを頬張った。

ゆいも初めて食べるノリ巻きを見ながら『小百合に作ってもらおう♪』と皿を下げる小百合をチラ見した。

 

「ゆいちゃん、もうお腹いっぱい。出してくれた料理全部美味しかった」

「うん♪けっこう飲んだけど、明日は大丈夫？今日私といること、あの人は知ってるの？」

「うん。ゆいちゃんから返事をもらってすぐに話した。いいなぁ～って。でも、夏美ちゃんのことも知ってるから、ほどほどにって」

「そりゃそうだ。じゃ、出ようか」

「ゆいちゃん、今日は私に持たせて。話を聞いてもらったから」

「・・・うん。今日はごちそうになります♪」

由美は圭吾に代金を渡しお礼を言って店を出た。

 

「大将、今日は長居してしまってごめんなさい」

「いいよいいよ。もう小百合あげるから」

「はい。ごちそうさまでした」

 

店を出て行くゆいを見た小百合は急いでテーブルを片付け始めた。

 

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