学研ひみつシリーズ『咄嗟のひみつ』
腹を空かせ人里近くに降りてきて
家畜などの獲物を狙うはずだった
(はぁ~俺とした事がシクったな…)
普段なら人が放つ矢など軽々と避け
獲物を仕留めればさっさと住処へと
持ち帰るのだが…
此度は人間側も犬を用意して来て居た
まぁ奴等なんぞに負けはしないが…
だが流石に数に負けてしまっていた…
降り注ぐ矢を掻い潜り
逃げた先に野生の一羽の兎が…
その大きな瞳が震えた瞬間
危ないっ!護らなければ!
何故か分からないが
咄嗟にそう思ってしまい
庇う様に覆い被さってしまった
グサッ!
左脚を矢が掠めた!
(チッ!このままではマズイ!
此奴まで殺られる!)
気絶した兎の首を甘噛みし撤退した
全速力で走り去った
途中雨が降り始め豪雨と雷まで鳴り始める
嵐になってきた
それ以上進めず
寝ぐらにしている大きな洞穴に
程近い大木の根元に
雨を避ける為休んでいた
(この雨では流石に奴等も
匂いで追っては来れまい)
ふと見ると
兎の身体が震えていた
ヨンは前脚で囲い込む様に
兎の身体を自分の方に寄せ
自らの体温を分け与えていた
(ふっ!
俺は一体どうしたというのだ?
何時もならこんな兎の一羽や二羽
腹に収めようものなのに…)
何故だか食べる気にもならないヨンは
自嘲気味に笑っていた
★◇★◇★◇★◇★
こんにちは
昨日申請下さった方
メッセージいただいたのですが
質問のお返事が有りませんので
下記のアメンバー申請の仕方の
質問のお返事を頂けますか?
他にもあと3名
【 アメンバーになる 】を押しただけの
方がいらっしゃいます
もうすぐ2週間の期限が切れてしまいます
そうなると
Amebaさんに自動消去されますので
お早めに質問内容をメッセージ下さいませ
お待ちしております
ともち(*´꒳`*)
会社、コンクリート。帰ったら、咄嗟の家。妻、美人。
平手said
微熱だから、と考えたのが失敗だった。
昨日の夜から違和感はあった。
今朝顔色が悪いと心配してくれたゆっかーを「今日午前中だけだから」って説得したのに。
幸か不幸か今日はソロの仕事。
勘が鋭いマネージャーをなんとか誤魔化しながら確実に悪化した身体で帰ってきた。
寮の入口で車から降りて、自分の部屋がある階へ…
と、ここである問題が。
平手「嘘でしょ…」
まさかのエレベーター故障中。
体調が最悪な私と階段。
地獄の組み合わせとはこのことか。
頭痛、寒気、倦怠感。
一段登るごとに酷くなってる気がする。
平手「はぁ…はぁ…っはぁ…」
階段を上りきった頃にはもう既に意識が朦朧としていた。
平手「はぁ…は……着い…た…」
もう少しで自分の部屋に…
平手「!?…っ…」
急に視界が反転した。
肌に触れたフローリングが冷たくて寒気が増す。
立ち上がろうと思うけど身体が動かない。
こんな姿メンバーには見られたくないけど、今日は皆いないはず。
このまま少し休もう…
?「…?……!!」
平手「ん…?」
何かが聞こえたような気がして、閉じかけた目を開くと、霞んだ視界の端に誰かが駆け寄ってくるのが見えた。
誰だろ…?
メンバーはいないから、寮母さんかな?
平手「…?」
フカフカな何かに包まれているような感覚。
何だろう。
目を開けて確認すると、それは布団だった。
と言うことは誰かのベット?
自分のではないことだけは確かだ。
?「てち?」
平手「え?」
声がした方向を見ると、濡れた髪をタオルで拭いている理佐がいた。
平手「理佐…?」
平手「あれ…」
渡邉「ここ、私の部屋」
平手「理佐の…?」
渡邉「そこの廊下に倒れてた
すごい熱だったよ」
平手「熱…」
自分の額を触ってみると、冷えピタが貼られていて、ぬるくなっていた。
渡邉「まだ熱下がりきってないから寝てて」
平手「待って…!」
そう言って離れていこうとするから、咄嗟に腕を掴んでしまった。
渡邉「!」
平手「あ、ごめん…」
謝りながらもやっぱり離れてほしくなくて、腕は掴んだまま。
渡邉「髪乾かしてくるだけだから、すぐ戻ってくるね」
平手「…うん……」
ここは理佐の部屋…
ってことはあのとき駆け寄ってきたのは理佐?
平手「んー…」
渡邉「てち?」
平手「ん…!」
渡邉「どうしたの?辛い?」
ボーッとしてたらいつの間にか髪を乾かし終わっていたようで、私の顔を覗き込んでいた。
平手「ううん…」
渡邉「強がり」
平手「うっ…」
ここでドS出さないで…
渡邉「寒くない?」
平手「少し…」
渡邉「毛布持ってくるね」
私がここで寝てたとすると、理佐もずっといたことになる…
…仕事は?
昼までだったのかな…
渡邉「お待たせ」
厚手の毛布を首元にかけてくれて、やっぱり理佐は優しいな、と思う。
渡邉「冷えピタも替えようか」
貼られている冷えピタが剥がされて理佐の手が私の額に触れた。
冷たくて気持ちいい…
渡邉「んー…上がってきてるかも、病院行く?」
平手「…」
渡邉「…」
平手「…」
渡邉「行きたくない?」
平手「うん…」
渡邉「明日仕事は?」
平手「朝から雑誌の取材が…」
渡邉「…」
平手「…」
冷えピタを貼って、その上から頭を撫でて少し考えてる。
渡邉「行こう」
平手「…」
渡邉「…」
平手「やだ…」
渡邉「仕事あるんでしょ?」
平手「…」
渡邉「じゃあ、病院行かないけどスタッフさんに報告して明日休むか、病院行って何事もなかったかのように仕事に行くか、選んで」
平手「…」
究極の選択…
スタッフさんに報告はされたく_
平手「え…?」
渡邉「ん?」
平手「言ってないの…?スタッフさんに…」
渡邉「言ってないよ」
平手「なんで…?」
渡邉「もしかして言ってた方が良かった?」
平手「いや…そうじゃなくて…てっきりもう言ってるのかと思ってたから…」
渡邉「勝手に言われるのてち嫌いでしょ?茜にも怒られそうだもんね」
平手「…」
理佐が皆に好かれてるのってこういうところだよね。
性格を理解してくれている。
平手「理佐…」
渡邉「ん?」
平手「…一緒にいてくれる?」
渡邉「診察?」
平手「うん…」
渡邉「もちろん」
平手「じゃあ…行く」
渡邉「分かった」
夜間診療所で診察を受けると、疲れからきた風邪を放って置いたことで悪化したのだろう、と言うことだった。
脱水にもなりかけていて、点滴をすることになった。
点滴は二時間。
これが終わったら帰っていいらしい。
今は十時。
終わる頃には十二時になりそう。
平手「あ、門限…」
渡邉「寮母さんには連絡しておいたから大丈夫」
理佐が私がボソッと呟いた言葉を拾って答えた。
平手「ありがと…」
渡邉「いいから、寝な?雑誌の取材あるんでしょ?」
平手「うん…」
渡邉「_」
理佐、何か言ってる。
でもごめん。
何言ってるか分からなかった。
今はただ、眠い_
渡邉said
渡邉「あ」
ふと、スマホから顔を上げて点滴を見ると、もう中身が無くなっていた。
スマホをしまってナースコールを押す
看護師『どうされました?』
渡邉「あの、点滴が終わったんですが…」
看護師『分かりました』
時計を見ると、もうとっくに日付が変わっていた。
看護師「失礼します」
渡邉「はい」
看護師「点滴外させていただきますねー」
テキパキと点滴を外す看護師さん。
てちの腕からスッと針を抜いた。
平手「んん…」
看護師「よく眠ってらっしゃいますね」
渡邉「ええ」
看護師「では、薬が出ておりますので会計で受け取ってからお帰りください」
渡邉「はい、ありがとうございました」
早く帰らなきゃ。
渡邉「て_」
平手「すー…」
ぐっすり寝てるし起こすのもな…
おぶって帰ろう。
会計を済ませて処方箋を受け取って、てちを背負って病院を出る。
本当はタクシーに乗って帰ろうと思ってたけど、歩いて帰ることにした。
寮までそんなに遠いわけじゃないから大丈夫だろう。
幸い私は明日オフ。
仕事に支障が出るわけではない。
渡邉「涼しい…」
外に出ると夏の夜とは思えないほど清々しかった。
平手said
タッ……タッ……タッ……タッ……タッ……
ゆっくりな心地よい揺れと共に聞こえる規則正しい音。
渡邉「てち?起きたの?」
平手「理佐…?」
頭を起こすと目の前には理佐の背中。
辺りはキラキラ光が輝いてて、空は真っ暗。
理佐に、背負われていた。
平手「あれ…?なんで…」
一瞬、パニックになった。
なんでこんなところに。
平手「あ、病院…」
そうだ、確か点滴したまま寝ちゃって…
渡邉「ふふっ、覚えてないよね?点滴終わった後よく寝てるから起こしたくなくてね、おんぶして帰ろうと思って」
平手「えぇ、ごめん…」
渡邉「いいのいいの」
平手「重いでしょ…?降りるよ…歩ける」
渡邉「まだ治ってないんだから、無理しないで、それに私がこうしてたいの」
平手「でも…」
渡邉「それより、寒くない?熱上がりきっちゃってるから寒気はしないだろうけど、風で汗冷えちゃうかも」
確かに今年の夏は夏とは思えないほど涼しいけど、今はそれより_
平手「理佐の背中が温かいから大丈夫…」
渡邉「それは良かった」
火照った身体にそよ風が心地良い。
理佐が歩くたびに背中に伝わる、いつもよりゆっくりなリズムが落ち着く。
上げていた頭を倒して耳を理佐の背中につけると、理佐の心音が聞こえてくる。
平手「…落ち着く……」
渡邉「寝ててもいいよ」
平手「うん…ありがとう…」
渡邉said
寮に着くと寮母さんがドアを開けてくれた。
夜はオートロックで中からしか開かないようになっているからだ。
寮母「おかえりなさい、どうだった?」
渡邉「疲れから来た風邪を放っておいたから悪化したのではないかと、脱水にもなっていたので点滴してもらいました。」
寮母「そう、ごめんね、私が行ければ良かったんだろうけど…」
渡邉「いえ、こちらこそ事後報告になってしまいすみません」
寮母「私は全然いいのよ、理佐ちゃん、今日仕事は?」
渡邉「今日は休みです」
寮母「じゃあ、昨日の昼からの分もゆっくり休んでね」
渡邉「ありがとうございます、おやすみなさい」
寮母「おやすみなさい」
そう、昨日私は昼からオフだった。
部屋に戻る途中で私の部屋の前で倒れてるてちを発見したんだ。
倒れてたのが私の部屋の前で良かった。
違う階とかだったら絶対見つけられなかっただろうしね。
もし茜が見つけてたら…
渡邉「…大騒ぎだったな…」
部屋に入ってベットにてちを寝かせる。
平手「…」
冷えピタを外して前髪を上げて額をさわ
とまだ熱い。
渡邉「さすがにまだ下がりきってないか…」
明日の朝には下がってるといいな…
渡邉「ふぁ…」
さすがに私も眠い。
歯を磨いて寝よう。
ベット…
渡邉「ソファーで寝ようか」
自分用に毛布を引っ張り出していると。
平手「理佐…」
渡邉「てち?」
平手「ここ…理佐の部屋?」
渡邉「そうだよ、身体はどう?少しは楽になった?」
平手「分かんない…」
渡邉「そっか、じゃあゆっくり休んでね」
クイッ
渡邉「!」
毛布を持ってソファーに行こうとすると服の裾を掴まれた。
平手「理佐は…どこで寝るの…?」
渡邉「ソファーだよ?」
平手「やだ…」
渡邉「え?」
平手「一緒に寝たい…」
可愛い…
いや、そういうことじゃなくて!
平手「ダメ…?」
渡邉「ダメじゃないけど、暑いかとおもって」
平手「別にいい…」
渡邉「んー、分かった、ちょっと待ってて」
とりあえず、必要なものを揃える。
水、薬、スポーツドリンク、タオル…
渡邉「あ、冷えピタも貼らないと」
これぐらいかな。
今にも寝そうなてちの前髪を上げて冷えピタを貼る。
渡邉「てち?」
平手「…ん……」
渡邉「薬だけ飲もう?」
平手「んー…」
のそのそと動いて起き上がると薬と水を受け取って一錠ずつ飲み始めた。
処方された錠剤は三錠。
一気に飲めないタイプか。
平手「んー…」
渡邉「おっと」
水のペットボトルの蓋を閉めると、そのまま私にもたれ掛かってきた。
時計を確認すると、病院を出てから一時間程経っていた。
さすがに眠いか。
渡邉「よし、てち寝よう?」
もう力が入ってない身体をそっと横たわらせて、私も隣にお邪魔することにした。
平手「ん…」
もぞもぞとすり寄ってくる身体を抱き寄せながら眠りについた 。
________________________________________________________
詳しくは次の記事でお話しします。
咄嗟でちょっと優雅に
まだ夜明け前だった。
ひどく咳き込んで苦しくて目を覚ました。
昨夜はそれほど早く寝たわけでもないけれど
明け方4時前に目が覚めることは最近よくある事だった。
布団に横になってから2時間で切れるようにタイマーを
設定していたのでエアコンは既に止まり部屋の中が蒸し暑い。
顔をもたげてリモコンを手に冷房のスイッチを押す。
私がここで暮らす以前からずっとあった製品だから起動すると
吹き出し口のフラップがキシキシと頼りない軋み音をさせながら
ゆっくりと開いていく。
意識がはっきりしていくにつれて、ひどい頭痛が右上方の頭の中を
覆いつくしていく。
割れそうな痛みに目を開ける事も出来ない。
もう何年も前からワインを飲むようになり、それ以来
片頭痛がすっかりなくなっていたというのに、こんな痛みは数年ぶりだった。
起き上がれずに頭を抱え込み目を閉じる。
ずっと頭痛とは疎遠だっただけに頭痛薬だけは持ち合わせていなかった。
こめかみを押して痛みが和らぐのをじっと待つ。
声にならないため息を吐いてみた。
やはりいまだに声も出ない。それに起き掛けには激しく咳が出る。
こんな時、ひとり、救急車を呼んでも声が出ない事には何も伝えられない。
頭の痛みは時折、激痛となって襲ってくる。
何なのだろう。
とりあえず咳止めだけ飲んだ。
痛みの根源もわからず、首や肩やこめかみや頭を、
わからないツボを探るように押しながらじっと横になっていた。
それから2時間ぐらい経過しただろうか、いつの間にか再び眠っていた。
カーテンの外は既に明るくなっている様子が伺える。
大型台風が通過すると言われていた昨日は、さほど何事もなく
多少、雨が降っただけにすぎなかった。
割れる様な激痛だった頭の痛みがいくらか和らいでいる。
カーテンの隙間から漏れる外の明かりになんとなく気持が安堵する。
深呼吸して声を出してみる。
しかし、相変わらず空気が漏れるばかりで声という音が出ない。
だめか・・・諦めて支度する。
日曜日だから朝の通勤ラッシュを気にすることなく地下鉄に乗れる。
最寄りの駅で降りて以前も歩いた道をTの病院へと向かう。
台風が過ぎ去った後だけに少し歩いただけでも汗ばむ陽気だった。
緩やかな坂道を登り切って真っ直ぐ歩き右へ曲がり下っていく。
鈍い頭痛が尾を引いていて頭の中がくらくらする。
途中で薬局があれば頭痛薬を買おうと探しつつ上ってきたけれど
処方箋専用店だけで普通の薬局が何処にも見当たらない。
そうこうしているうちに病院の敷地内に辿り着いていた。
日曜日なので外来用の入り口は閉鎖されている。迂回して入院棟のある
奧まで歩いて行った。
面会用の電子カードを受け取りTの部屋へと向かう。
コンコン!
軽くノックして扉を開けるとベッドの上で吸引機を片手に彼は酸素を吸っていた。
Tの顔色は、むくみもなく晴れやかで点滴も外されて自由に動ける様子だった。
手術後だけに声を出すことを彼は禁じられていたから、口パクと
ジェスチャーで会話する。
「かのん。声はどう?」
私は首を横に振った。
Tの前で声を出してみる。
地響きのような低い声にならないしわがれた音が喉の奥から漏れるだけだった。
そんな私の様子を見てTは吹き出していたけれど。
「頭が痛いの。薬局がなくて薬が買えなかった。」
口をパクパクさせながら空気だけの声で彼に伝えると
「薬あるよ、まって。」
医者から処方された痛み止めは頭痛にも強烈に効き目があるらしい。
Tは、その一粒を私の手のひらにそっと乗せてくれた。
離婚してから、いつもいつも一人だった。
知らず知らずに自立させられて、何かあっても
いつもいつも一人で解決していかなくてはならなかった。
もちろん私には母もいる。兄弟もいる。
でも
みんな、それぞれに家庭があり暮らしている場所は遠い。
いざという時に相談できる身近な人など私の近くにはいなかったから
Tの優しさに泣きそうになる。
手術後で傷も癒えない状態なのに、たかが頭痛程度の私を心配してくれる。
声の出ない心細さも加わって、一人の不安は一層深い。
「ここで、一緒にお昼食べていってもいい?」
Tの希望で食事は部屋に運ばれる。
私は院内にあるコンビニで軽食を買ってTの部屋に戻った。
「頭痛、まだする?」
聞かれてはじめて頭痛がすっかり治まっている事にわたしは気付いた。
涼し過ぎる位のTの病室の片隅にある小さなテーブルで二人、食事した。
術後で声を出してはいけない彼と、突発的に声が出なくなってしまった私。
口をパクパクさせながら空気だけの音で沢山の話をした。
今回の手術は、助手ではなく、私の肉芽腫を治してくれた医師が
自らオペを担当してくれたらしい。
汗っかきで暑がりのTだから、手術中も体を覆う布が暑くて
下半身に冷風を当ててもらった話など、面白おかしく語っていた。
「そういえばさ。」
箸を置いてTがわたしを見る。
「手術前の前日の検査でエレベーターに乗ったら、
ここの事務員らしい女の人が乗って来たんだよね。」
「うん。」
「でさ、俺のこと見ていきなり言ったんだ。」
「なんて?」
「ニ〇ニ〇動画の人ですよね?」
一瞬呼吸が止まりそうになった。
そのサイトは私がTと知り合う以前に彼が飯動画を配信をしていた場所だった。
でも、あからさまに顔を出していたわけではなく素性も隠しての上だった。
舌癌の初発の状況も配信していたから、その手術の傷跡で
気付かれてしまったのだろうか。それとも、彼の独特な鋭く大きな
瞳の印象からなのだろうか。
咄嗟に聞かれて彼はNOと答えたらしいけれど、なんだか可笑しかった。
顔を隠していてもバレてしまうものなのかもしれない。
問いかけられて「はい、そうです。」なんて答えられるわけもなく
「いえ、違います。」と答えるしかなかったかもしれないけれど
たぶんきっと問いかけた人はTが配信者であることを確信していた事と思う。
やましい事など何もないけれど芸能人ではないしセキュリティーもなく
ガードマンを雇えるわけもない状況で素性を晒す危険性を考えての
マスクをかぶった配信だけれど、わかる人にはわかってしまう。
特に知り合いなら尚更ばれてしまう可能性は高い。
もしもTが、動画配信者の方ではと問いかけられた時にYESと答えていたら
どうなっただろうか。
彼女は彼の動画についてどこまで語ってくれたのだろうか。
Tには申し訳ないけれど、わたしとしては、そちらの方が興味津々だった。
明日、Tは退院する。
迎えに行って、食欲はないけれど、せめて美味しいものを何か
食べられたらと思う。
Tは、東京は楽しいというけれど、人の多さや空気の悪さで
しんどい事も多いから、一休みしたら早めに地元へ戻ろう。
飯動画の再開のためにも。
咄嗟 守りたいものがあります
皇宮でのある種の行事は 『先例に従って』となることが多い。
ウンスに言わせれば 『その大昔と今じゃ 状況が違う場合がほとんどじゃない? 臨機応変って言葉 知らないのかしら?』と言うことなのだが、基本的に自由人である彼女をもってしても そう軽口を叩いていい場合と 許されない場合があることは 承知していた。
その日 ウンスが 王妃と 皇宮奥にある池のほとりを散歩していたのは、その『先例に従って』とは 真逆の、単なる偶然だと思っていた。
・・・王妃の散歩自体は その主治医であるウンスによって推奨されていたが、王妃という高貴な立場と 元の皇帝家の血を引くという立場もあり 散歩の時間や場所は決まったものではない。
しかも 王妃の主治医という立場ではあるが、ウンスも 『大護軍チェ・ヨンの奥方』という身であり その出仕は毎日ではない。
したがって 王妃の散歩が 主治医である医仙ことユ・ウンスと一緒に行われている、ということは 偶然に等しいはずなのである。
だが その偶然であるはずの その場所に 招かざる侵入者が 現れた。
しかし 王妃やウンスの身に 危害が及ぶことはなかった。
王妃と医仙が 護衛の武閣氏たちの 『侵入者!』という言葉に ピクリと身を震わせたのほぼ同時に、その者は 武閣氏たちに取り押さえられていたのである。
「何者だ!」
「・・・・・」
誰何されたからといって 自分が何者であるか白状するのは よほどの自意識過剰な犯人でもない限り そうそうあるものではないだろう。
その襲撃者の女も フッと鼻で笑う様な笑みを一瞬浮かべ 直後華奢そうに見える外見からは想像もできないものすごい力で 武閣氏たちを振り切った。
「王妃様! 医仙様!!」
三人がかりで武閣氏たちが押さえつけていたため、王妃とウンスは その侵入者の方へと足を向けていた。
そんな折に 侵入者が武閣氏を振り切ったため、王妃とウンスについていた武閣氏は 瞬時に叫び、二人を庇うように咄嗟に覆いかぶさった。
この時代 (時代劇などを見ればわかるように) 王や王妃など 身分のある立場の方の先を歩くことは 基本無礼とされている(時代劇を見る限り 夜暗い場所を歩くときに 明かりを持っている場合は 例外のようだが)。
ウンスにしてみれば 『刺客が正面から来たら困るのに』と思うのだが そういうものであるらしく、そんな状況下で 庇うためとはいえ二人の上に覆いかぶさるという行動にでた武閣氏は 機転が利くというか 勇気があったに違いない。
だが 侵入者の女は そんな武閣氏たちを あざ笑うかのように、襲って・・・はこなかった。
一瞬だけ自由を取り戻した女は 任務の遂行ではなく その懐に隠し持っていた 毒を飲み 自害を図ったのである。
「・・・・・!!」
その場に 武閣氏の長であるチェ尚宮がいなかったということも 偶然の一つにすぎない。
ただ 彼女がいなかったからといって 武閣氏たちは その有能さが 失われたわけではなかった。
チェ尚宮の片腕とも言われ チェ尚宮が不在のこの場の警備責任者でもあるギョンランは 顔色一つ変えることなく 毒をあおった侵入者の女の腹に 強烈な一発の拳を叩きこみ 毒を吐き出させた。
「・・・炭を!」
「はい 医仙」
バタバタと (名門貴族チェ家の奥方としては お世辞にも優雅とは言えないような足音をさせて) ウンスは走り寄ってくると 叫んだ。
そのことを読んでいたかのように ギョンランは懐から小さな袋を取り出し 彼女へと渡す。
「飲ませて!」
「はい」
ギョンランは 小袋から粉末状にした炭を手に取ると おもむろに侵入者の口へと無理やり突っ込んだ。
当然 自害を図った侵入者は それをはねのけようとするが ギョンランは手や服が汚れるのを厭わずに 侵入者の顔を押さえつけ 鼻をつまみ 女が口に入れた炭の粉末を飲まざろう得ない状況にする。
そうして 無理やり 解毒させたのだった。
「ご苦労」
「王妃様 ありがたきお言葉ではありますが、侵入者を近寄らせたのも 私たちの不始末でございます」
「侵入者があったことは事実じゃ。 ですが 妾も医仙も 命の危険を感じませんでした。 それは 其方たちのおかげじゃ」
「ありがたきお言葉でございます」
ギョンランをはじめとする武閣氏たちが そう言って頭を下げるのを ウンスは 黙って見つめた。
そして やり取りが終わったのを見計らい 恐る恐る口を開く。
「あの・・・、この 人は・・・」
『女人』と言いそうになって ウンスは思わず口ごもる。
相手は 王妃に(ウンスは自分も標的になりえていることに気付いていない)刃を向けてきた人物であるから 丁寧な言葉を使うことはできない、と思い直し 何とか言葉を紡いだ。
彼女にしてみれば 侵入者が毒を飲んだ時点で 『患者』なのだろう。
「刑部に引き渡すことになります 医仙。 医官による診察は そちらの判断になるでしょう」
「・・・そうね」
居合わせたから応急処置に加わった。 ただそれだけで ウンスが 侵入者の女の治療に でばるわけにはいかないだろう。
ウンスは頷き 立ち上がった。
「ギョンランさん」
「はい」
「炭 持っててくれたのね、ありがとう さすがだわ」
「医仙のお言葉を チェ尚宮さまが『もっともだ』と仰せになり、全員ではありませんが 部隊長は所持することにいたしました」
「うん、ありがとう」
ウンスはそう言って 今度は弱弱しいものではなく、にっこりと微笑んだ。
何の折だったかは今となっては思い出せないが、ウンスは 夫の叔母であるチェ尚宮との会話のなかで 『解毒』についての話になったことがあった。
ウンスがかつて盛られたような 針で刺される場合は難しいが、口から毒を含んだ場合 初期の対応次第では助けられることが多い ということを ウンスは話したのだった。
『水で毒を薄める』という考え方もあるけれど それが逆効果になることもある、と。
そこで 彼女が かつての記憶から思い出したのが 『炭』というわけだった。
現代的に言えば 『食用炭』であり 火鉢に用いるそれとは似て非なるものではあるが (主に衛生上の問題はありつつも)効果には変わりがないはず、と。
それを聞いたチェ尚宮とその甥(言わずと知れたウンスの夫ではあるが)が 自らの職務に使えるのではないか、という話になってはいたのだが まさかすぐに使
れていたとは ウンスも予想していなかったのだ。
「侵入者を許しつつも防いだのは武閣氏ではありますが その者の自害を許さず 生け捕りにできたのは 医仙のおかげです」
「叔母様・・・」
おそらく 知らせを聞いて慌ててやってきたのだろう、チェ尚宮がほんの少しだけ息を切らせながら そう言った。
医員として 命を救っただけのウンスの行動だったのだが、侵入者の女が これから受けるであろう拷問のことを考えれば 自害させたほうが 彼女のためだったのではないか? というのは ウンスには絶対内緒にしよう、と チェ尚宮やギョンランが思っていたことは ウンスには知り得ようもなかったのだった・・・。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
悪い癖で 気に入ったもの(マンガでも小説でもドラマでも)があると そればっかりを繰り返す性格なので また文体代わっている気がします・・・(;・∀・)
今日は友人と飲みに行っているため(予約投稿です) コメ返しは遅いと思われます・・・
名探偵ウンス、というよりは 医者であるウンスを書きたかったのですが すんなり『よかった』という話にならないところが Pandoriaの精神状態が悪い証なのかもしれません・・・。
台風や地震で 被害がでているので 死者が出る話はやめとこう、と 書きかけの話を止めているのですが その代わりに書いた話もコレって・・・((( ⊂⌒~⊃。Д。)⊃
サンリオの絵文字カワイイですが ブログの内容にそぐわない・・・
ももはやってたりしましたが あんまり持ってなかったかな
とは 少し持ってたかも・・・?(やはりカエルなのか・・・)
てか これは名前も知らない・・・(;・∀・)
咄嗟 ひとは、誰かになれる。
今日は 久しぶりの
晴天
ずっと どんより
雨模様だったからね~
北陸特有の グレーの世界です
先週末は 親友の付き合いで auショップに
高校生の娘ちゃんの iPhoneが壊れたらしい
急遽 iPhoneXに機種変よ
21日には iPhoneXsが発売するのに…
壊れたなら仕方がないっす
jujuも 今のiPhone6s は3年なんだよね~
auに行って タダでは帰って来ないよね?
当然 予約してきちゃった
(旦那に まだ話してなかったわ)
椎間板ヘルニア日記
今日で ちょうど40日目
前回の 椎間板ヘルニア日記より
ステロイド・ビタミン・抗菌剤の粉薬をもらい
飲み終えたのが 38日目でした
最近の ぷりんは
小走りしたり ぴょんと布団に登ったり
⋆⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝ピョンピョン
まだ不安定さも 残ってるけど
ほぼほぼ しっかりしてきましたよ~
今日 ぷりんの様子を先生に診てもらう為に
病院に行ってきました
診察台に 乗った ぷりん
体重は 4.1㌔
太り過ぎは 足にも負担になるし
少しづつ ダイエットしてきた甲斐があった
先生は 後から 後ろ足を
大胆に ガっと引っ張り 様子を見る
ぷりんは 咄嗟に 足を戻そうとするよね~
先生「大丈夫 良くなったね~」
「もう ニューロアクトだけでいいよ~」
🙌✨やったぁ~
来月初めに入れたトリミングもOK
まだ 不安定さも残るので
ゲージ生活は もう少ししようと思ってます
36日目の ぷりん
今日の ぷりん
お盆の時に 椎間板ヘルニアになった
ぷりん
沢山の応援と 沢山のアドバイスを
みんな本当に ありがとう
ポジティブjujuだけど 萎えてしまう事もある
そんな時に
ブログや Instagramを通じて
心配して下さり 沢山の元気玉を ありがとう
陣中見舞いも ありがとう
感謝の気持ちでいっぱいです